暑い中、今年も北海道マラソンが行われ、筆者宅の近所をランナーたちが駆け抜けました。完走率は81.1%だったそうです。その1週間後の9月3日には稚内平和マラソンが開催されました。筆者の友人も参加し、「完走できた」と語る笑顔はとても素敵でした。
1996年のアトランタ五輪女子マラソンで銅メダルを獲得した有森裕子さんの言葉「自分で自分をほめたい」は、その年の流行語大賞に選ばれました。有森さんは子どもの頃、「自己肯定感が低い」状態だったそうです。その後、陸上で活躍でき、「自己肯定感」を実感できたといいます。そして「根本は人間が一番必要とする、自分の存在意義」と語ります(8/23朝日新聞朝刊)。
自己犠牲から、自分を大事にする時代に変わってきている、という指摘があります。「季節の変わり目、どうかご自愛ください」というように相手をいたわる「ご自愛ください」という言葉が、最近は、自分をいたわる意味で使われることが増えてきたそうです。「ご自愛タイム」や「ご自愛スイーツ」といった具合です。
旧約聖書の中に次のような言葉があります。
「あなたの隣人を自分自身のように愛しなさい。」(レビ記 19章18節)*
聖書では隣人愛が語られますが、その前提に「自分自身のように」という言葉があります。さらに新約聖書の中で、イエスは隣人や自分自身を愛する前に、神を愛することの大切さを教えています。「私」と「あなた」という横の関係の前に、「神」と「私」という縦の関係が語られるのです。水平の関係と垂直の関係は十字架の形をイメージします。隣人も自分自身も愛せないと感じる時があるかもしれません。そんな時にも天におられる神の愛は、上から注がれています。
イエスの愛弟子だったヨハネは、「愛する者たち」に向けた手紙の中で次のように語っています。
「私たちは愛しています。神がまず私たちを愛してくださったからです。」
(ヨハネの手紙 第一 4章19節)*
上からの愛を感じてこそ、自分をほめ、自分自身を愛することができるようになると思います。「自己肯定感」ブームの時代、神の愛が語られる聖書のことばに耳を傾けてみませんか。
*聖書 新改訳2017©2017 新日本聖書刊行会
(2023年 通巻461号)
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