「七つの大罪」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
日本ではアニメの題材としても取り上げられていますが、これは4世紀のカトリック教会が起源だと言われています。当時、人を罪に陥らせる欲望を七つ挙げ、人々に警告を与えていました。その七つとは、傲慢・強欲・嫉妬・憤怒・色欲・暴食・怠惰です。これらは時代が変わってもなお、私たちの心に変わらずに存在し得るものです。あなたは七つの内、どの欲望をより強く感じるでしょうか。
聖書にはこれらの欲望から過ちを犯す人間が何人も登場しますが、その中の一人にサウルという人がいます。彼はイスラエル初代の王でした。しかしその治世は2年しか続かず、戦場で命を落とします。彼は嫉妬深い人物でした。自分の配下であったダビデ(サウルの次に王となる人物です)の成功に対し、怒りと嫉妬心を抱き続けていたのです。
「女たちは、笑いながら歌い交わした。『サウルは千を討ち、ダビデは万を討った。』サウルは、このことばを聞いて激しく怒り、不機嫌になって言った。『ダビデには万と言い、私には千と言う。あれにないのは王位だけだ。』その日以来、サウルはダビデに目をつけるようになった。」
(サムエル記第一 18章7~9節)
サウル王はダビデの功績を喜べず、その言動に目をつけました。挙句の果てに、王であるという地位を利用して彼を殺そうとします。聖書には、その後神がダビデを守られ、そしてサウル王を退けてダビデに王位を与えられたことが記されています。
サウル王は自分の心にある嫉妬心によって周りを信用できず、優秀な配下を自らの手で退け、神からも見放され、破滅の道へと進んでいきました。最初は小さなことでの妬みから始まったとしても、これを放っておくと道を大きく踏み外すきっかけとなり得ます。
人の成功を素直に喜べない現実は、筆者にもあります。その度に、自分の心の狭さを痛感させられます。あなたはどうでしょうか。職場の同僚の活躍に対し、素直に喜べるでしょうか。あるいは嫉妬心から冷たい態度をとってしまうでしょうか。嫉妬は百害あって一利なしです。聖書や教会の歴史からの警告に耳を傾け、妬みではなく相手を思いやる生き方を身に着けてみませんか。
(2024年 通巻474号)
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